Fleche2014 プロローグ

向かい風に散った2013年のFlecheから1年。今年もFlecheの季節がやってきた。

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Flecheは1年に1度だけ開催される、チームブルベである。通常のBRMとの差異は以下の通り。

・1チーム3~5人で走ること(3人以上ゴールで認定)。
・24時間以内に出来るだけ長い距離を走ること(360km以上で認定)。
・コースは各チームで作成すること。

Flecheの特徴は、各チームがコースを設定できること。ゴール地点(Nice Placeと呼ばれる)のみが決まっており、どこをスタートして、どんな道を通るかは各チームの裁量に任される。ここがFlecheの面白い点であり、難しい点だ。

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今年の主催はAJ神奈川で、NicePlaceは鎌倉。幕府の有事の際に「いざ鎌倉」と集った武士のごとく、ランドヌールたちが鎌倉目指して全国から集合する。今年は歴史的にも非常に説得力のあるNicePlaceが設定されたと言える。

 フレッシュ413 いざ鎌倉!
 http://www.aj-kanagawa.org/2014brm/furesshu413iza-lian-cang

目的地が鎌倉と聞いて、真っ先に浮かんだのは「昨年のリベンジ」。昨年は「Team東海道五十三次」として、東京・日本橋から京都・三条大橋を目指した。しかし、西風の憂き目に合い、撃沈。鈴鹿峠を前にして我々の矢は京都に届かずに落下したのであった。

一応、距離的には基準を満たしたので認定はされたものの、チームとしての目標は達せなかった。すぐにでも借りは返したい。しかし、Flecheの開催地は毎年変わるもの。東海道近辺がNicePlaceに指定されるのは一体何年後になるだろうか……その時、果たして自分に走りきる力があるのか?

そんなことを考えていたが、まさか一年でリベンジの機会が巡ってこようとは。

(続く)
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Fleche2014 準備編

しかしルートはどうするべきか。ここは迷った。

昨年のリベンジと位置付ければ、(逆向きではあるが)京都・三条大橋をスタートして東京・日本橋をゴールする「東海道制覇」のルートが相応しい。しかし、どうせなら京都と言わず、大阪・梅田をスタートして東京・日本橋をゴールとする「国道1号線制覇」を狙ってみるのはどうだろうか。

昨年と違い、今年は東へ向かう。Flecheの時期には西風が吹くことが多く、追い風が期待できる。天気さえ良ければ、追い風に乗って日本橋まで至ることも不可能ではないかもしれない。

ただ、問題となるのは「いざ鎌倉」というテーマとの矛盾。Flecheは

  「NicePlaceまで矢(Fleche)のように走って集まる」

ことが主旨である。そこに、どう考えても鎌倉よりも遠い日本橋をゴール地点として申請するのはいかがなものか?

ここで思いだしたのは「20%ルール」の存在。Flecheでは、申請上のゴールに早く着いてしまった場合、残りの時間は走り続けなければならない。24時間時点の距離が申請したゴールまでの走行距離の120%に収まっていれば認定対象となる(走りすぎても失格となる)。

つまり、ゴールを鎌倉近辺にして、もし時間が余ったら日本橋まで走れば良い。

 ①大阪・梅田 ⇒ 神奈川・茅ヶ崎 (465km)
 
 

 ②神奈川・茅ヶ崎 ⇒ 東京・日本橋 (62km)
 

申請ルートは①とした。ゴールは鎌倉にほど近い、茅ヶ崎の名勝・烏帽子岩前。自転車乗り的には、Y's Road 茅ヶ崎店がある場所としてもお馴染みだ。そして、もし余裕があれば、エクストラステージとして、②のルートを追加で走るプランで行くことを決めた。+62kmであれば、465kmの20%に収まるし、「時間の限り、出来る限り一直線で遠くを目指す」というFlecheの理念とも合致する。

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ルートは決まった。次はメンバー。

昨年のリベンジという位置づけであるため、まずは前回のメンバーに声を掛けた。ゲンスケさんとMiagi君は仕事の都合で今年は不参加。チャリモさんとキクミミさんは参加の同意を頂けた。

残る枠はあと2つ。日本橋までの到達を視野に入れるとなると、相応の走力を持つ人を仲間に入れる必要がある。幸いにも、大阪⇒東京を24時間切った経験者は回りに何人もいるので、その人たちに声を掛けてみたところ、AZEさんとHideさんの二人が手を上げてくれた。この二人は、東京大阪キャノンボールの中でも極北と言われる「中山道ルート(諏訪経由)」での24時間切り達成者。実力は申し分ない。

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続いては作戦。正直、集団でこの距離を24時間以内に走るのはかなり難しい。

 「集団だとローテーション出来るし、一人よりも楽なのでは?」

と思う人もいるかもしれないが、それは余程足とライドスタイルが合っている場合に限られる。集団でロングライドをする場合、空気抵抗が減るというメリットはあるが、以下のようなデメリットがある。

 ①トラブルの確率が上がる
  ⇒パンクやメカトラの確率は人数倍になる。
   眠くなるタイミングも人によって異なる。
 ②休憩時間が延びる
  ⇒PCとなるコンビ二ではトイレは人数分あることはまず無い。
   休みたい時間も異なるため、休憩時間が延びがち。
 ③眠くなるタイミングが異なる
  ⇒人によって生活リズムも違うため、眠くなる
   タイミングも異なる。置いていくわけにもいかない。
 ④足が合わなくて疲れる
  ⇒巡航速度はもちろん、一番疲れるのが信号加速の違い。
   一般に体重が軽い人ほどトップスピードに乗るまでが早い。
   マリオカートのノコノコとクッパの違いみたいなもの。

ほとんどの参加者が「Flecheは辛い」というが、それは上記のデメリットによるもの。要は自分で操作できないファクターが大幅に増えるのである。

これらのデメリットを可能な限りなくすため、事前にミーティングと、練習会を行った。昨年の教訓も含め、以下のような取り決めで走ることになった。

 ・大阪に前泊し、スタートは朝6時半
  ⇒前日、可能な限り睡眠を取り、眠くなるリスクを減らすため。
 ・スピードは上げすぎない
  ⇒平地では35km/h出ていれば、日本橋まで十分に届く。
   信号加速も出来る限りゆっくりで。
   付いていけないと思ったら千切れてよい。
 ・休憩回数は減らし、休憩時間も減らす
  ⇒休憩間隔は60~80km間隔として休憩回数を減らす。
   2人がトイレに行っている間に2人は買い物をするなど、
   休憩時間をなるべく減らすこと。

「こんな場合はどうする?」と顔を突き合わせて議論をし、上記の他にもなるべく細かい点まで取り決めを行った。走行中に議論をするのは時間の無駄。想定できることは全て出しておいたほうが良い。

(続く)
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Fleche2014 エントリー編

ルート、メンバー、作戦共に決まり、いよいよエントリー。

今年は近年のブルベブームに加え、開催地が関東ということもあり、過去最高のチーム数がエントリー。しかし枠は限られており、恐らく史上初の抽選が行われた。結果は……

 当選!!

これで「Team 東海道五十三次」は出走を許された。

あとは、スタートの日まで練習を積み、安全に過ごすこと。しかし、好事魔多し。そうは上手く行かなかった。

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開催まであと一ヶ月、メンバー変更の期限まで1週間と迫った日に、メンバーのHideさんから報告が入る。海外ブルベを走っていた所、障害物を避けられずに落車したとのこと。重篤な怪我ではないが、さすがに一ヶ月でFlecheを走るのは難しいとの事だった。


さて、困った。このタイミングで都合よく、代わりのメンバーが見つかるだろうか?

今からではペースを合わせる練習も難しい。面識がない人をメンバーに引き入れてもギクシャクするだけだろう。

これまで他のメンバーとも一緒に走ったことがあり、更に大阪→東京を24時間で走れそうな人物。かつFlecheで他のチームに参加していないという難しい条件も付く。そんな都合の良い人がいるはずが……。


……いる。1人だけ。

早速その人にDMを送る。

  「フレッシュの日、予定は空いていますか?」

ほどなくして、返事が届いた。

  「予定空いてます!何しようか悩んでいる所です」
  
メッセージを送った相手は、"MTBランドヌール"・ふぃりっぷさんだった。

例年であれば「AJ若手の会」でFlecheにエントリーをしているはずだが、今年はエントリーを忘れたという話を聞いたような気がしていた。聞いてみたら案の定、という訳である。

チームへの参加を打診した所、二つ返事でOK!ふぃりっぷさんは2012年のTOTでほとんどのメンバーと一緒に走っているし、昨年の忘年会でも全員と面識がある。走力の点でも勿論申し分なし。最高の助っ人が現れてくれた。

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というわけで、最終的に揃った「Team東海道五十三次」メンバーは以下の5人。


■キクミミさん(GIANT DEFY ADVANCED)
各地のレースで初音ミクフォームで勝利を飾る有名人。今やヒルクラレースでゲストとして呼ばれるまでに。ロングもレースもこなせるオールラウンダー。

■チャリモさん(KUOTA KHARMA)
「1000kmからがロングライド」と公言する聖地巡礼系ロングライダー。キクミミさん同様、TOTに参加して完走。平地とアタックが得意なパンチャー系。

■AZEさん(ORBEA ORCA)
R1を一切通らない、通称「中山道キャノボ」の初の24時間切り達成者。ヒルクライム大会での優勝経験もあるクライマー。

■ふぃりっぷさん(FOCUS CAYO)
MTBで各地のブルベに参戦する「MTBランドヌール」。数々のレースでの優勝経験も。クライマーよりのオールラウンダー系?

■baru(LAPIERRE XELIUS)
東海道マニア。今回はルートと取りまとめ担当。多分面子の中で最弱。


私自身の実力はさておき、私が集められる中でも屈指の変態実力者が揃った。ちなみに全員TOTの参加者である。

このメンバーなら鎌倉を通り越して東京を狙えるかもしれない――本番に向けて胸が高鳴った。

(続く)
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Fleche2014 スタート前編

4月11日。いよいよFleche開催を明日に控え、新幹線で大阪へと向かっていた。

fleche2014_01.jpg


京都に近付いた頃、不意に後方から

  「パァン!!」

との発砲音のような音。まさか……と思って席の後ろに置いた輪行袋の中身を確認すると、前輪の空気が完全に抜け切っていた。

fleche2014_02.jpg
トンネルを抜けたときに気圧の差から破裂したのだろうか?何にせよ、縁起が良くない。

fleche2014_03.jpg
さらに珍しい出来事は続く。ガムを噛んでいたら、ガリッという異物感。吐き出してみると、銀歯が取れていた。なにもこんな時に!

大阪に到着して即パンク修理。さらに、知人に勧めてもらった歯医者で銀歯も詰め直し。まさか大阪で歯医者に掛かるとは思っても見なかった。

一応はこれで全て元通り。しかし、普段起こりえないことが立て続けに起こったことは、今思えばFlecheの波乱を予告していたのかもしれない。

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翌朝5:00起床。前日は22:00には寝たので、たっぷり7時間寝ることが出来た。ロングライド前にこれだけぐっすり眠れたのは初めてかもしれない。

そそくさと準備をしていると、キクミミさんから電話が入る。

  「スタート予定のコンビ二に来たんだけど、
   ここ7:00まで開かないみたいよ?」


うちのチームのスタートは6:30。今回はスタート地点として、元標の西100mにあるビル1階のファミリーマートを設定していた。調べてみると、ここの営業時間は7:00~23:00。コンビ二は全て24時間営業だと思い込んでいたが、「ビル内部のコンビ二は閉店することがある」ということすっかり想定から抜け落ちていた。

すぐにAJ神奈川のスタッフの人に電話。

「近くにコンビ二があればそこで良い」
とのお返事。良かった!次回からは営業時間の確認も忘れてはならないな……。

fleche2014_05.jpg
6:00、大阪市道路元標前に集合して記念撮影。

見送りとして、KJTさん、もつなべさん、つむりさん、七式さんが来てくれた。KJTさんはこれまでも東京大阪キャノンボールの出迎え・見送りを毎回してくれていて、しかも彼が来てくれた時は必ず目標を達成できているというジンクスがある。今回、縁起の悪いことが続いていたが、これでもう勝ったも同然!と一人気分を盛り上げる。

写真撮影の後は、元標から信号を渡った所にあるファミリーマートへ移動。今回はここを代理のスタート地点とした。

6:20、Garmin eTrexの電源を入れて、ルートの読み込み……と思ったら地図が表示されない。地図データの読み込みに失敗したのか?と思って再起動してみるも同じ。もしやと思い、裏蓋をあけて電池を取ると……

 そこにあるはずのmicroSDカードが無い!

地図データはmicroSDカードに入っている。それが無ければ地図が表示されないのは当然。

恐らく、ホテルで電池を入れ替えたときに落としたのだろう。しかしどうする……東海道はさんざん走った道なので、ルートは頭に入っている。しかし、地図が見えないのはストレスだ。出来れば地図が欲しい。

  「……すみません、誰かGarminを使っている方、
   ちょっとmicroSDカードを貸していただけないでしょうか?」


この呼びかけに対し、七式さんがEdgeからカードを抜いて渡してくれた。

Garminの場合、地図データは通常microSDカードに入れる。これはEdgeでもeTrexでも共通。ならば、Edgeに入っているカードを挿せば地図が表示されるはずなのだ。

カードをeTrexに挿して電源を入れる……画面に表示される「Loading Maps」の文字。そして、地図は見事表示!このままカードをお借りして東京へ向かうことになった。七式さん、ありがとうございます。

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スタート直前にトラブルが多発したものの、6:30きっかりにレシートを全員が貰い、自転車に跨る。

「Team 東海道五十三次」出発!5本の矢が東へと放たれた。

(続く)
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Fleche2014 本編①START:大阪~PC1:伊賀

スタートからしばらくは直進。土曜朝ということもあり、道は空いている。

蒲生4交差点で左折し、関目駅前を過ぎたところで右折。ここからはR163。今回は京都を回らず、まっすぐ東へ行く「伊賀越え(R163~R25)」のルートを選択した。獲得標高こそ京都周りよりも多いものの、距離が20km短い点は見逃せない。

朝の大阪の街を抜け、最初の難所・清滝トンネルに到達。坂の上にあるトンネルであることもそうだが、このトンネルは車道の路肩が極端に狭いため、歩道で抜ける必要がある。しかも右側の。そのため、ルートが面倒なのだ。

トンネルに入る直前になって異変に気付く。

……あれ、このトンネルって一方通行だったっけ?トンネルの中の2車線は何れも同じ方向を向いている。確か以前は双方通行だったはず。よく見ると、既存のトンネルの北にもう1本、真新しいトンネルが増えている。

 ……道が変わっている!

工事をしているのは知っていたが、ここまで大きく変わっていたとは。従来であればトンネルから出てすぐに左側に渡ることができた。しかし、現在は上り車線と下り車線が完全に分かれており、左側に渡ることができなくなっていた。

そして例によって自転車への案内は皆無。試しに歩道を下ってみたところ、行き止まり。ここに来て想定外のロスだ。しかし、そこで口を開いたのが関西在住のAZEさんだった。

 「確か、トンネルの上を抜けられる道があったはず。
  付いてきて。」


そう言うと、軽快に来た道を引き返し、対向車線に渡れる道へと案内してくれた。土地に明るい方がメンバーにいるというは、何とありがたいことだろう。一人だったらこの時点でかなりパニックになっていた所だ。

 2月15日(土) 清滝第二トンネルが開通します!
 http://www.kkr.mlit.go.jp/naniwa/ir/press/img/20140123.pdf

後で調べたところ、走行の二ヶ月前に道路がこのような状態になったらしい。恐らくは新設のトンネル(清滝第二トンネル)の左側の歩道を通るのが一番スムーズな抜け方だと思われるが、従来のトンネル(清滝第一トンネル)の歩道を抜けた場合は、トンネルの上を迂回するしか左側に渡る方法は無いようだ。


今回通ったルートはこのような感じ。一旦戻ってトンネルの上を越えた。

5分ほどのロスはあったものの、無事ルート復帰。しばらくはダウンヒルが続く。奈良側の路面はあれており、腰を浮かせていないと辛い。

ここで不意に脱落音。AZEさんのライトが落下した音だった。ブラケットが振動に耐え切れなかったらしい。幸い他にもライトは2つあるため、走行には支障は無さそうだ。うーむ、序盤からトラブル多発である。この先は大丈夫だろうか。


木津ではHideさん考案のショートカットルートを使う。ここを申請ルートに含めるのには不安があった。しかし、実際に走ってみると非常に良いルート。信号も少なく、川沿いのさわやかな道。

月ヶ瀬の上りあたりで、徐々に足に差が見え始める。余裕そうなクライマー3人に対し、かなり必死なチャリモさんと私。解ってはいたが、ヒルクラ大会の優勝クラスの人は登りが強すぎる。

ここから先、PC1までの区間はアップダウンだらけ。暫くの間、背中を追いかける時間が続くのだった。

(続く)
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プロフィール

ばる

Author:ばる
群馬産のキャノンボーラー。
普段はラーメンかカレーを食べに行くグルメライドばっかりやってます。

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【長距離自転車TT記録】
大阪→東京:23時間02分
東京→大阪:23時間18分
東京⇔大阪:67時間38分
青森→東京:36時間05分

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2005年に書かれた東京~大阪の自転車向けルートガイド。情報は古くなっているものの、今でも十分使えます。


拙著の「東京→大阪キャノンボール」レポート掲載。タイムテーブルや、戦略等を詳しく書いています。


シクロツーリストの田村編集長による長距離走行ガイド本。時短法やキャノンボール挑戦時のエピソードが掲載されています。

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