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サコライドNewYear210 【起】

明けました、2013年。


2012年はロングライド的には大変充実した年であった。

 ・サコライド5本出場(うち5本完走)
 ・ブルベデビュー&3本出場(うち2本完走)
 ・門司→大阪ファストラン(広島リタイア)

などなど、300km以上の距離を何度走ったか分からない。そして極めつけはTOT(Tokyo-Osaka-Tokyo)の完走である。最初はジョークだったこの企画を走り切れたことは、これから先も大きな財産になると思う。


だがしかし。大きな目標を達成した直後というのは、得てして次の目標を見失いやすいものである。


燃え尽き症候群。

まさにそんな感じで、TOT後の3ヶ月は一度も200km以上の距離を走っていない。走ってもグルメライドかポタリングばかりで、消費カロリーよりも摂取カロリーの方が多そうなライドばかりだった。




そんな時に現れたお題が「サコライドNewYear210」である。昨年の9月に発表された「サコライド292」以来の新コースだ。概要は以下のような感じ。

 ・サコッシュの開店時間に出て、閉店時間までに戻ってくること。
 ・制限時間は、210km/10時間。
 ・関東の三大師(川崎大師、西新井大師、佐野厄除大師)を全て回ること。
 ・出来たらおみくじを引くこと。

一見すると、Ave21km/hというのはそんなに難しく無いように見える。キャノボならば24時間でAve23km/hを保てるのだ。Ave21km/hを10時間なら訳は無い……というのは数字のマジック。今回はスタート時間が決まっているので全く事情が違う。

いつもならば、スタート時間は自由。大抵の場合、自分は深夜か早朝に都内を抜けるようにスタート時間を決める。道が渋滞すれば、自転車といえど走りにくく平均速度は下がる。郊外や山を昼間に走り、都市部を夜から早朝に抜けるのがファストランの定石とも言える。

今回のルートは、下北沢→川崎大師→西新井大師→佐野厄除大師→下北沢のルート。都心部が全体の4割以上を占める。更に、本来スピードを稼げるはずの埼玉~群馬はこの時期「空っ風」と呼ばれる季節風が吹く。西新井→佐野の区間で、向かい風の直撃を受ける可能性が高いのだ。この条件でAve21km/hはかなりキツい。

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伸るか反るか解らない場合、自分は試走に行くことにしている。年末に、川崎→佐野の区間だけを走ってみた。結果はAve20km/h。向かい風に強い群馬出身と言えど、250Wで20km/hしか出ないような風の前ではスピードは出ない。

ramen.jpg


結局、佐野ラーメンを堪能してそこから輪行して帰ってきてしまった。復路をAve22km/hで帰れれば間に合うはずだが、渋滞などに引っかかればアウト。これは……無理なんじゃないか?


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しかし、このまま引き下がるのも悔しい。何か対策があるはずだ。

風対策はキャノボ同様に「風の良い日」を選べばよい。風向き予測サイトとにらめっこしていると、どうも三連休の初日(1/12)は北風が弱そうだ。雨も降らなそうだし、やるのはこの日に決定。

あとは時短対策か。Edyを使うのは勿論として、休憩の時間を減らしたい。いつもならば60kmごとに休憩を入れるのだが、それだと今回の210kmコースでは3回の休憩が必要となる。コレを何とか2回に減らしたい。補給を多めに持てば良いのだが、冬の時期はトイレ休憩が増える傾向がある。というわけで、水分の補給量を減らすことにした。あまり良くないのだが、あえて薄着にすることで発汗量を抑えれば750mlボトル1本で70kmを走れるはずだし、トイレにも行きたくならないはず。

更に今回は普段ロングライドに使うSPECIALIZED Roubaixではなく、やや硬めのLAPIERRE XELIUSを使用。信号停止からの発進が多くなることを考え、反応性の良いフレームを使う作戦。あんまり意味があるとは思えないが、気持ちの問題である。


――このように準備をしているうちに気分は盛り上がる。久々にロングファストランへの意欲が戻ってきた気がした。
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サコライドNewYear210 【承】

2013-01-12 105621

1/12(土) 10:50。サコッシュ前に行くと、サコライド常連の酔猫庵さんの姿が。彼も私と同じく風向き予報サイトを見て決行を決めたらしい。どうやら、思考回路がかなり近くなっているようだ。

11:00きっかり、サコッシュ前でツイートして出発。しばらくは酔猫庵さんと連れ立って環七を走る。そういえば一緒に走るのは初めて。当初は、一人で勝手に走るつもりであったので。千切れても待たないつもりであったが、そこはさすが全サコライドの完走者。ピッタリと私の後ろをマーク。


ここで、あることを思いつく。このシチュエーション、Flecheの練習にならないだろうか?

今年の4月に予定されている2013年のFlecheは「日本橋~三条大橋」の約500kmのルートを考えている。人数は3~5人。実は、長い距離を走る場合は却って一人の方が速かったりするのだ。複数人で走ると、

 ①1人あたりの空気抵抗が減る(先頭交代するから)
 ②気が紛れる
 ③楽しい

等のメリットはあるが、以下の様なデメリットもある。

 ①巡航速度が合わなくて疲れる
 ②登りの速度が合わなくて疲れる
 ③停止→発進で、体力を削られる
 ④休憩タイミングが合わない
 ⑤トイレの休憩時間が増える

③と④は仕方ないのだが、①②③は先頭を引く人が配慮すれば解決できる問題だ。複数人で一緒に走らなければならないFlecheにおいては、先頭を引く人の動きが鍵になるはず。幸い、酔猫庵さんは今回のFlecheのメンバー相当の力がある。当日の様子を想定して走ってみれば、良いテストになるはずだ。


というわけで、環七を抜けた辺りからは以下を意識して走るようにした。

 ①巡航速度を35km/h以上に上げない
 ②発進時の速度を徐々に上げる
 ③坂ではトルクを掛けない

ロングライドにおける集団走行で重要なのは、後ろを走る人に負担をかけないこと。そして、負担をかけないために重要なのは、停止→発進をゆるやかにする必要がある。例えば、3人で走っているとしよう。

  ●●●  →進行方向

発進前は上記のように3人が並んでいる状態になる。ここで先頭の人が急加速して発進したらどうなるだろうか?

  ●●  ●
  ↓
  ● ●   ●
  ↓
   ●  ●   ●
  ↓
      ●  ●  ●
  ↓
          ●  ●●
  ↓
              ●●● (巡航体制)

停止→発進する場合、どうしても目で見てから実際に体が動くまでにタイムラグが生じる。そして、そのタイムラグは人数が多くなるほど大きくなっていく。渋滞の発生理由が、ちょっとしたブレーキの伝播によるものであるのと同じだ。

上記の例の場合、一番後ろの人が追いついて巡航体制に入るまでにかなりの距離を走っていることが解るだろう。この間は空気抵抗の低減もなく、しかも加速する必要があるので無駄に足を使ってしまう。集団走行をしている意味があまり無くなってしまうどころか、急加速を強いられるので一人で走る以上に疲れると言うこともありうる。

望ましいのは以下のように、先頭がゆるやかに発進することである。

  ●●●
  ↓
  ●● ●
  ↓
  ● ● ●
  ↓
    ● ●●
  ↓
      ●●● (巡航体制)

こうすれば、後ろも無駄に脚を使うことも無い。そして集団になった所で巡航速度を上げていけばいいのだ。ふじいのりあき氏の著書によれば、集団走行をする場合、先頭の人の60%の出力を出せば後ろの人は付いていけるらしい。一度巡航体制に入れば、よほどの実力差が無い限り千切れることは無い。先頭の人が一定ペースを守ってくれれば、尚更だ。


――このように、後ろへの走りやすさを考慮した走り方で走ることを「勝手に」決めた。酔猫庵さん、実験に巻き込んでスミマセン。

-----

環七を抜けると、平和島から見慣れたR15に入る。ここを二段階右折し、蒲田方面へ。大森警察署前からR131に入る。川崎の住人だが、意外にもこのルートは初めてだ。R15よりも路肩は広く、走りやすい。渋滞はあったが、あっという間に大師橋を越える。ここを渡るのも初めてだ。自転車が通行できることを知らなかった。


2013-01-12 115955 


12:00、出発から1時間丁度で川崎大師に到着。1月2週目の休日、当たり前だが物凄い混雑である。どう考えても自転車で入っていける雰囲気ではないので、参道入り口で写真を撮影して先を急ぐ。ここまでのグロスAveは19.8km/h。10時間以内に走るためには21.0km/h必要なので、遅れている状態だ。まぁ、このエリアの信号量を考えれば仕方ないだろう。


元来た道を戻り、再度大森警察署前からR15に入る。次の目的地は西新井大師。新橋までR15、そこから昭和通に入る。昭和通はR15よりも信号が少なく快適だ。キャノボであえて回り道をして、こちらを使うのもありかもしれない。

推奨ルートでは鶯谷から三河島方面へ、尾竹橋通りを通るようになっていた。しかし試走した際にこのルートの難点が発覚。隅田川を渡る小台橋及び、荒川を渡る扇大橋は橋前後の陸橋部分の自転車通行が不可なのだ。階段を押して登らなければいけないところもあり、非常に面倒であった。



そこで、代替ルートとして、R4を直進、隅田川を千住大橋で越えて、荒川を西新井橋で越えるルートに変更。距離は若干伸びるが、どちらの橋も自転車でスムーズに抜けられる利点があるのだ。


2013-01-12 133311


13:32、西新井大師到着。こちらも人が多すぎて中には入れそうに無いので、参道から撮影。ここまでのAveは20.0km/h。少し回復したが、まだ足りない。

  「まだ借金生活ですね~」
  「まぁまだ1/4ですから、逆転できますよ」


などと、酔猫庵さんと笑う。

ここからは推奨ルートに戻り、ひたすら北を目指す。次の目的地は遥か北、佐野厄除け大師だ。
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サコライドNewYear210 【転】

さて、西新井大師を出るとまもなく埼玉。試走ではここから向かい風に苦しめられた。今回は少しでも空気抵抗を減らそうと、ハンドル低めのLAPIERREさんを出してきたのだが。


  アレ、ほとんど風がない……
  
  
確かに、風向き予報を見て北風の弱い日を選んだ。しかし若干拍子抜けしてしまった。「そんな事言っても、川口過ぎて周りに何も無くなったら風が強くなるんでしょ?」と思っていたが、川口を過ぎても微風のままだった。うーむ、こんな日もあるのか。――ならば、ここで借金を取り戻すしか無い。


ここから巡航速度を少し上げる。35km/hで縛っていたが、37km/h程度に。路肩も広く、車もそれなりに流れているので走行風で勝手に加速する。浜名湖辺りを走っている感じだ。

岩槻では、またも推奨ルートから外れる。加倉北の交差点を右折してすぐに左折すれば、蓮田岩槻バイパスを使える。自転車が走れるかどうかストリートビューでもよく解らなかったため、現地確認。どうやら進入禁止の標識はない。……しかしこれは失敗だった。とにかく路肩が狭い。イメージとしては、千葉の湾岸道路である。大型トラックがいるので生きた心地がしない。ここを使うのは非推奨だ。


蓮田を抜けると、ほぼ左右に何もない場所を走ることになる。ここに来ても微風。ツイてる。ここらで走行距離は70kmを突破。そろそろ休憩……ということで、試走でも寄ったファミリーマートへ。

ファストランの休憩は慌ただしい。コンビニに入る前に、ある程度買うものは考えておく。店に入ったら即トイレを済まして、買うものを買ってEdyで会計。食べる時も、ストレッチやTwitterへの書き込み等、基本「並行作業」である。多分、ロングを速く走る人は基本こんな感じだと思う。酔猫庵さんもそうであった。お互い、示し合わせたようにヘルメットを付けて出発。停止時間は7分ほど。次の休憩は70km先だ。


2012-12-24 155923

加須~羽生をひたすら35km/h巡航で抜け、群馬へ凱旋。前回はこの橋で吹き飛ばされそうになったものだけど、穏やかそのものだった。館林駅前を通過し、暫く行くとついに佐野市内へ。

2013-01-12 164104


16:40、最終CP・佐野厄除け大師!出発から5時間40分で123km。Ave21.7km/h。ついに達成ペースに乗って来た!帰りは若干追い風になることを考えると、多少の余裕はある。


  「せっかくだから、おみくじを引いて行きませんか?」
  

おみくじ引くのなんて、何年ぶりだろう。そして結果は……

2013-01-12 164438


吉!だけど、結構良いこと書いてある。酔猫庵さんも同じく吉であった。近くの木に結んで、帰路へと自転車を向ける。大師前の佐野ラーメン屋に後ろ髪を引かれつつ、目指すは下北沢のゴール!

残り距離、90km。残り時間、4時間10分。さて、間に合うか!?
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サコライドNewYear210 【結】

さて、佐野厄除け大師からはひたすら南下する。来た道を戻り、利根川を渡った後に右折をしてR17方面へ。推奨ルートでは北鴻巣駅前でR17に合流するルートとなっていたが、K77を使って別ルート。




この道は、鴻巣に住んでいる弟の家に行くときに通る道。交通量が少なく走りやすいことを知っていたのだ。道の途中にあったファミリーマートで休憩。2回目の休憩だが、最後の休憩となる。


R17に合流すれば、ここからは見知った道。特に何の感慨もなく、ひたすら35km/hでの巡航を続ける。上尾~大宮と抜けて、笹目橋で荒川越え。残り距離20kmで、残った時間は1時間14分。この勝負、貰ったッ!!

都内に入ってからは巡航速度を33km/hほどに落として走る。もう急がなくても間に合うので、談笑しつつのパレードランという感じ。あとは、五日市街道と井の頭通りを間違えなければ良い。

2013-01-12 204716


20:44、サコッシュにゴール!!11時出発なので、所要時間は9時間44分。なんとか制限時間の10時間を切った!

2013-01-12 210040


そしてご褒美のスペシャルベリーオレ!寒い中走ってきた訳だが、都内は群馬や栃木に比べると随分暖かく、終盤は暑いくらい。これはホットよりアイスが良いな、ということでこちらを選択した。


休日の夜中ということもあり、客は自分と酔猫庵さんのみ。マスターを交えて、今回のサコライドについて閉店時間まで盛り上がる。この瞬間がとても好きだ。心地良い疲労感の中で、ライドの思い出を語る。これだけで十分、長い距離を走るに値すると思う。


自宅までは勿論自走。帰って風呂入って倒れるように眠った。


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ロングライドはやはり楽しい。そんな原点を思い出すライドだった。

一方、最後まで酔猫庵さんとパックで走れたことは新たな自信になった。とりあえず、グロス22km/hで210kmを引っ張れることは証明できた。Flecheでは一人で引くことはないはず。交代が上手く行けば、24時間で500km走ることは不可能ではない。

今年もやはり、ロングライドの魅力からは逃れられない……ような気がしている。全く、因果な性分である。


【走行データ】
通算距離: 210.4km
走行時間: 9時間44分(メーター読み: 7時間19分)
平均時速: 21.8km/h(メーター読み: 28.4km/h)
平均心拍: 145bpm
獲得標高: 345m
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プロフィール

ばる

Author:ばる
群馬産のキャノンボーラー。
普段はラーメンかカレーを食べに行くグルメライドばっかりやってます。

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【長距離自転車TT記録】
大阪→東京:23時間02分
東京→大阪:23時間18分
東京⇔大阪:67時間38分
青森→東京:36時間05分

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2005年に書かれた東京~大阪の自転車向けルートガイド。情報は古くなっているものの、今でも十分使えます。


拙著の「東京→大阪キャノンボール」レポート掲載。タイムテーブルや、戦略等を詳しく書いています。


シクロツーリストの田村編集長による長距離走行ガイド本。時短法やキャノンボール挑戦時のエピソードが掲載されています。

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